ジャパンC回顧

1着 △ アルカセット(3人)
2着 ◎ ハーツクライ(2人)
3着 … ゼンノロブロイ(1人)
4着 △リンカーン(9人)
5着 ○ ウィジャボード(5人)
ラップタイム
12.5-10.7-11.5-11.8-11.8-11.9-12.0-11.8-11.8-11.9-12.0-12.4

タップダンスシチーが前走の鬱憤を晴らすかのような、猛ラップを刻み続け道中は12.0が一個あるだけで残り2Fまでのタイムは驚愕の1.57.7。(天皇賞・秋の決着タイムが2.0.1で、府中のコースレコードシンボリクリスエスの1.58.0。)残り300からウィジャボードが先頭にたち、その後外目からゼンノロブロイが更に先頭に並びかけるところを内からアルカセットが抜け出すと、最後は猛追するハーツクライの強襲を僅か3センチ封じて2.22.1の超絶レコードでゴール。タップダンスシチーの勇猛果敢なハイラップで、ジャパンカップらしいタフな持久力比べとなり、これもダートに劣らず素晴らしいレースだった。

断然1番人気だったゼンノロブロイは、最後は脚色が一杯になって完全に力負けの形。持久力比べのレースでも昨年の有馬記念勝ちがあったが、あれはタップダンスシチーが遠征明けの8分仕上げだったゆえに捕まえられたもので、3歳時の菊花賞有馬記念、明け4歳の日経賞、同年の宝塚記念、そして今年の宝塚記念とパフォーマンスを下げたレース(と言ってもそれでも上位入線を果たしているだけ立派なものだが)はいずれも厳しい競馬の持久力レースだった。逆に4歳秋の京都大章典ではナリタセンチュリーに屈したが、あれは相手に走られすぎただけで、別馬のような高パフォーマンスだった3歳の神戸新聞杯、昨年のジャパンCは瞬発力がものを言うレースだった(今年の天皇賞秋も自身が仕上がり途上だったけど、得意の瞬発力レースになったことで格好をつけたと思っている)。瞬発力勝負では一線級だが、タフな地力比べではパフォーマンスを下げるのがこの馬だと思っている。そう考えると、昨年の秋古馬GI完全制覇を果たした要因の一つには、速いラップで厳しい競馬を演出することができるタップダンスシチーが海外遠征で有馬以外参戦がなかったというのがあったのかもしれない(まぁ相手弱化が最大の要因でしょうが…)。

ゼンノロブロイに喧嘩を売るのもどうかと思ったが、宝塚記念ベースの競馬になってハーツクライが先着するとして、リンカーン宝塚記念は仕掛けタイミングの差次第で着順が引っ繰り返っていたと思うので、後はもう一頭〜二頭、近年では間違いなく一番充実している外国馬勢の中から何かしら飛んできてくれれば、ロブロイが馬券圏外に外れることになる。これなら喧嘩を売れそうと思えてきた。

自画自賛ですが、レース前のこの見方はリンカーンが一回直線でロブロイに寄られて狭くなった上で、ハナ差4着だったことを考えればかなり良い線いってたと思うし、人気を考慮すれば喧嘩を売ったのは間違いでもなかったと思う。でもってロブロイに喧嘩を売るんだから、ハーツクライアルカセットが本線でも良いのに、過剰人気に欲目を書いてアルカセットの評価を下げてしまったのは結果論ではかなり失敗だった。ウィジャボードデットーリに突かれて早仕掛けしてしまった分、早く脚がなくなったが仕掛け一つでもっと好勝負になっていた馬だったと思う。せめてリンカーンとロブロイのハナ差がひっくり返っていたら3連単13万馬券が入っていたのだが、そう上手くいくものでもないか…。予想は良い線いってたと思うだけに、馬券の組み立てで惜しいことをしてしまったレースでした。とりあえずダート、ターフともにJCらしい能力の限界を競いあう激しいレースになってくれたのが良かった。スローペースを一概に批判するわけでもないですが、少し前まであまりにその傾向のレースばかりだったので…。

あとは今回のJCには有馬へ向けて対ディープインパクトの重要な相手探しレースという役目を担っていたわけだが、その筆頭はタップダンスシチーじゃなかろうか。今回は結果着順は10着に留まったわけだが、それもあんなラップを刻んでしまって完全に後方組有利の流れだったわけだし、それでも残り1Fまで踏ん張って見せ場を作ったとこは、さすがタップダンスシチーといえる高い素質を見せ、次の有馬記念での復活の予感を感じる。有馬記念現在の対抗予定馬。